岡崎ルネサンス

ルネサンス活動

福祉工房あいち

インフォメーション
場所: 岡崎市牧平町コタラゲ13-89
ホームページ: http://www.koubouaichi.org/
福祉工房あいち

福祉工房あいちは、三河のエジソンと呼ばれる加藤源重さんの発明品を中心に、得意分野を生かしたい仲間が集まってできた工房。不慮の事故により手の障害を持った加藤さんが彼の工房で製作された補助具は、障害を持つ方の身体の一部となるくらい細部にこだわったすぐれものです。健常者がなかなか気づけない部分にも心配りが行き届き、障害を持つ方が自分でできることの喜びを感じられる道具の数々。優しさと知恵と工夫が結実する、ものづくりの拠点がここにあります。

 

 


■ピンチはチャンス


代表の加藤さんは紡績工場の機械工として働いていたある日、不慮の事故により、右手の親指の付け根だけを残して、それ以外の4指すべてを失ってしまいました。救急で運ばれた病院での医師の診断は、治癒にかかる期間や化膿の危険性、衛生面を考慮して手首から切断した方が良いということでした。しかし、加藤さんは、残せる部位は可能な限り残したいと医師に頼んだのでした。
手術の後、数か月の腫れと痛みに耐え抜いたあと、加藤さんは、一部の機能がまだ残っている自分の手を見ているうちに、失った悲しみよりも、むしろ嬉しさが込み上げてきたのだそうです。その時、加藤さんの脳裏には、技術屋として、その機能を活かす自助具のアイデアが、すでに次々に沸いていたのです。

 

 

 

■すべてはチャレンジしないと始まらない


加藤さんは、なんでもやる前からあきらめない方です。加藤さんは、自分の考えたアイデアを持って、いくつもの義肢メーカーを訪ねました。しかし、どの義肢メーカーも話を聞いただけで「できない」という回答でした。やる前から無理だと決めつけられてしまう現実に心を痛めていた加藤さんですが、ある日、新聞記事で、日本の自助具は世界からみて30年遅れていることを知りました。調べてみると作業療法士の教科書にも同様に記載されていることがわかりました。これでは、自分が考えているような、障害者が本当に求めている自助具・補助具ができるわけがありません。加藤さんは、メーカーが作らないなら、自分で作ればいいのではないかと考え方を変え、自宅の車庫を工房にして自助具づくりを始めたのです。
中古の機械を購入し、まずは自分用の万能ホルダーの製作に取り掛かりました。右腕にハンマーを縛り付け、ドライバーは太ももの上で転がすなど、身体のあらゆる場所を使って作業をしました。最初に製作したホルダーは、見事にわずか一日で出来てしまいました。
第2作め、第3作めと製作は続き、その後、半年という時間をかけて製作したなんでも持てる万能ホルダーは、手に不自由を感じておられる幅広い方々に使っていただける自助具づくりの本格的なスタートとなりました。

 

 

 

※加藤さんが箸を持って刺身を食べたいと考えられた万能ホルダー

 

 

 

 

■身障者の使える能力を活かした自助具が全国から注目される


 

万能ホルダーは、利用者の残存機能を100%活かすための自助具です。これを使って茶碗を持ち、箸を持ち、障害者は以前と同じように食事を楽しむことができます。いわゆる健常者と同じように不自由なく動作ができること、介助を必要としないことがどんなに嬉しいことか…。この気持ちを大切にしたいと加藤さんは言います。
様々なアイデアから生まれる自助具は、科学技術庁長官賞受賞をきっかけに様々なメディアで取り上げられるようになり全国に知られることになりました。不自由だからこそ見えてくる視点とアイデアは、多くの方の心を釘づけにしました。注目されるにつれて、「テレビで見たあの商品が欲しい」、「こんな商品はない?」、「こんなのを作ってほしい」などの要望も多くなり、加藤さん一人では到底対応できないほどの注文が入ってくるようになりました。
そこで加藤さんは、多くの方に不自由なく生活をしてもらうためには、工房に参加して一緒に製作をしてくれる人が必要であると考え、地元新聞を活用して同じ志を持つ職人の募集をしました。

                               ※科学技術庁長官賞 受賞メダル

 

 

 

 

 

 

■分野の異なる様々な協力者が集う工房


2000年1月15日、福祉工房あいちの発足に集まった会員は40名を超えました。金属加工、木工技術を本職とする人もいれば、公務員やお寺の住職など、得意な趣味を活かせたらと参加する人もいます。傍から見るとばらばらな人達の集まりですが、様々な分野の方に集まってほしいという加藤さんの思いが実現する形となりました。
利用者の要望をみんなで知恵を出し合って考え、ひとつの物を創りだす。工房は様々な仲間の参加で、さらに充実した活動ができるようになりました。


        

 

 

 

 

 

 

 

  ※学習障害児でも弾ける鉄琴を制作中                ※左右どちらからでも、赤いシールの数を叩くだけで

                                    曲(童謡)になる鉄琴

 

 

 

■終わりのない創作活動


障害を持つ方が、介助なしに日常生活を送ることができるのは、健常者にはなかなか分からない喜びです。加藤さんたちはこの気持ちを大切にしたいと、その創作活動は毎日休むことなく続いています。福祉工房あいちのみなさんが創りだす道具は、物質的な面だけでなく精神的な豊かさや満足度を生み出すことができ、まさに障害を持つ方の暮らしの質の向上につながっています。
三河のエジソンと言われる加藤さんとその工房仲間、そして傍に寄り添う奥さまたちが紡ぎだす、使う人への優しさのこもった自助具は、今後も次々と発明され、多くの方に使われていくことでしょう。「福祉工房あいち」は、私たちに喜びと明るい希望を与えてくれる、岡崎市のひかり輝く拠点の一つです。

 

※「くるりん車」座ってハンドルを矢印の方向へ向け、左右に小刻みに動かすだけで移動する自走具。
 子どものおもちゃにもなり、障害のある大人にも誰でも扱いやすい。操縦している加藤さんがとても楽しそう。

 


 

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