岡崎ルネサンス

ルネサンス活動

ホスピス研究会OKAZAKI

インフォメーション
場所: 岡崎市康生町515-39
ホームページ:
ホスピス研究会OKAZAKI

「ホスピス」という言葉をご存じですか。
ホスピスとは、重い病を抱える患者や、その家族一人ひとりの身体や心の様々な苦痛を和らげ、より豊かな人生の終末を送ることができるように支えていくという考え方です。その理念を実践する施設として、現在、愛知県内に17か所(平成27年10月現在)、その内のひとつが愛知県がんセンター愛知病院の緩和ケア病棟(岡崎市)です。「ホスピス研究会OKAZAKI」は、平成12年1月、県内にまだ3か所しかホスピスがなかった頃、患者主体の終末期医療が実現し、ホスピス緩和ケアの理念が広がっていくことを願って立ち上げられました。



このホスピス研究会OKAZAKIの発起人が、今回取材させていただいた金田亜可根さんです。

 

設立の背景には、金田さんが経験した大きな2つのきっかけがありました。

 

1つめは、大切な友人との別れ。
当時44歳だった友人は、病院に行った時は、すでに大腸がん末期。家族は友人の余命を告知されていましたが、それを本人に告げることができずにいました。何も知らない友人は治ることを信じ、自分のいのちと向き合う時間もないまま、たった3か月で亡くなっていったのです。
金田さんは、余命わずかな友人を目の前に、何もできない自分の無力さを思い知らされました。そして、医師の「病院は“治す”ところ。亡くなっていく人を“看取る場”ではない」という言葉を耳にし、大きな違和感を持ったそうです。

 

 

もう1つは、幼かった息子との別れ。
25歳の時、生後3か月の息子を亡くし、自分を責めながらも、病院での治療方法や医師の対応にも大きな疑問を持ったそうです。そしてこの経験が、のちに「医療といのちの関わり方」について考えるきっかけになっていきました。

 

金田さんは、いのちに対して、さまざまな思いを整理できないまま20年近く自問自答を繰り返しました。そして、「なぜホスピスが必要なのか。また、その存在理念を広めることが、同じように病気に苦しみ・悩む方々にとって救いになるのではないか」との思いから、医療といのちと市民を結ぶ試みとして、ホスピス研究会OKAZAKIをスタートさせたのです。

 

 

 

 

 

◆奇数月「がん患者会」・毎週土日「がん患者サロン」


ホスピス研究会OKAZAKIの活動のひとつは、奇数月に開催される「がん患者会」。ここでは、「食べる」ということを大切にしながら、患者自身が安心できる場をつくることを心がけているそうです。毎回25名~30名の会員(がん患者やその家族)が金田さんの自宅に集まり、前日からじっくり手間暇かけて作られた手料理を一緒に食べます。そして、「食事をする」という生活の基本的なことを共にすることで、人の気持ちがつながると実感しているそうです。
例えば、医師も患者も皆で同じものを食べ、自然に「美味しいね」と言う。そう感じ合うことで安心感が生まれ、ゆったりと思うままに会話ができていくのではないか、と思うことがあるそうです。
また、もうひとつの活動としては、毎週土日10時~16時(第1土日休み)、自宅横で開かれる「がん患者サロン」があります。こちらは予約不要で、がん患者や家族であれば、誰でも参加できます。そして、ご遺族が食事に訪れたり、患者会には参加しないがサロンには定期的に来るという方もいるそうです。

 

 

 

 


<一緒に食事をしながら、会話を楽しむ場所>


参加者は、食事をしながら自分の病状や近況について自由に話をします。金田さんは、ただじっと聞き役に徹します。話ができるということは、それぞれの心のふたが開いているということ。参加者の心の奥に閉じ込めている悲しみや不安、孤独な気持ちが、話すことで解き放たれ、心に安心感が生まれます。そして、話せるということは、ただひたすら聞いてくれる誰かがいるということ。金田さんは、自分の経験からそれらがとても大切だと思っているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

<アートといのちと医療がつながる場所>


 

 

 

 

 

 

 

 


金田さんは、2007年から美術大学の講師として「医療(いのち)と美術」という授業を行い、学生とがん患者のアート教室なども手がけています。また、幼児や大学生、患者を通して、医療といのちの関わりがどこまでか、医療について自分自身が判断できる土壌をつくること、いのちについて考える場を増やしていきたい、と考えているそうです。

今後の目標は?という問いに
「これと言って大きな目標はありません。私も、いついのちを終えるのかわかりません。目の前に現れるやりたいこと、やるべきことをやり続けられるまで、出し惜しみをせず続けていきたいと思っています」と、語ってくれました。

 

 

 

 

●人としての生を考える


日進月歩を遂げる医療現場。治療優先の場では、延命治療のために、家族は病室から押し出されてしまうことも多い。それが、少し前までは当たり前の光景でした。
誰もがいつかはいのちを終える存在。治す場である病院にいる
治らないかもしれない人たちの存在を、もっと私たちは身近なこととして考えるべきだと思います。
いのちを終えることは、日常生活の中に存在する不変的なことで、人間としての終わりは必ずやってきます。最後の一瞬まで、生ききることを考えることが大切なのです。治療の中で、病人としてだけのいのちを終えるのか、それとも、自分の人生として、いのちを終えるのか、の判断は自分でしかできません。
取材を終えて、いつもよりどこか晴れやかな気持ちになりました。
いのちの終わりは必ず訪れるものだからこそ、今を大切に生きる。このように考えるだけで毎日の過ごし方が大きく変わりそうな気がしました。

 

 

 

いのちと食とアートの学校 発起人

ホスピス研究会OKAZAKI
がん患者会「お話の会」・がん患者サロン「岡崎公園」

 

 

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