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天使の森からの贈りもの「現代浄瑠璃姫伝説」 <キラリときめく「岡崎の今」3>

今回は、2016年12月3日(土)に行われた、岡崎市民パペット劇「天使の森からの贈りもの~現代浄瑠璃姫伝説」をご紹介します。


 

<森と海>これらをつなぐ<川>。そして、そこにあるのは、生きるための<命の水>

 

 

 

岡崎市雨山町(あめやまちょう)・東河原町(ひがしかわはらちょう)の、遠く三河湾を見渡すことができる山の中に、「天使の森」と名付けられた場所があります。そこでは、森に生きるすべての生物たちが豊かな資源を守り、生命に必要不可欠な水を創りだしています。
 今回のイベント主催者であるNPO法人アースワーカーエナジーは、共催の岡崎信用金庫の支援と協力を得て「生態系の中の一部である人と自然の在り方という原点から、森林の再生、里山の暮らし、地域循環型産業を考え、その実現に貢献していくことを目的」として、1995年から活動を続けています。

 

 

 

 「私たちは、岡崎市宮崎財産区から借り受けた土地で、針葉樹林を落葉広葉樹林に転換していきながら、自然との調和を取り戻していこうと考えています。そして、訪れる人が誰でも天使になれるような、天使が舞い降りてくるような素敵な森に育ってほしいという願いを込めて“天使の森”と名付けました。この森でつくられた水が、岡崎の中心を流れる乙川や矢作川に注がれ、やがて三河湾へとつながっていきます。今年は、この森と海とをつないでいる乙川を舞台にした【浄瑠璃姫伝説】が岡崎にあることに着目し、パペット(人形)劇をつくることになりました」と、静かに熱く語るNPO法人アースワーカーエナジー代表の小原淳さん。小原さんは、岡崎の森を、江戸時代や明治時代に作られた人工林ではなく、平安時代のように、原生林そのままが残っていた豊かな山に戻していきたいと考えています。それはまさに、浄瑠璃姫が生きていたころの岡崎です。

 

 

 

 

 

世界で活躍するプロ集団と
  市民公募の出演者によるパペット劇場

 

 

 源義経公と浄瑠璃姫の悲恋物語は、人形浄瑠璃の世界では人気が高く、とても多くの人々に親しまれています。今回の劇では、国内外で活躍する芸術の専門家が集結。平安時代の世界観を現代に置き換え、中学生を主人公に、親子の葛藤、仲間との信頼関係、恋愛、自然との共生などを織り交ぜた脚本を脚本家の広光美絵さんが執筆。岡崎の各所を歩き回り、様々な人々の経験談を取材して脚本に生かし、心温まるハッピーエンドの物語を創りあげました。優等生でありながらも自分の生きがいを見出せず、熱くなれるものがない中学生の香澄。一方、サッカー選手になる夢をもち、生き生きと輝く圭司。そんな圭司に思いを寄せる香澄が、圭司のおかげで自分の夢を見つけることができた時、圭司が遠くへ行くことがわかり、離れ離れになってしまう二人。義経公と浄瑠璃姫の運命を彷彿とさせるかのように、物語は進んでいきます。
 また、芸術監督には、演出家の秋葉よりえさんが、6歳~65歳の幅広い年齢層の出演者を一つにまとめあげ、素晴らしいチームを育てました。そして舞台美術・衣装デザインは長谷川康子さん。岡崎信用金庫本店のホールが天使の森に変身したかのように、不思議な雰囲気を醸し出していました。さらに、作曲・ピアノ演奏の小島亜紀子さんの優しい演奏とミュージカル女優の鶴岡由佳子さんの美しい歌声には、会場内すべての観客が魅了されました。

 出演者は、公募で集合した岡崎市民が中心。小学生や主婦、会社員、退職後の方々まで、日々稽古を重ね、本番を迎えました。メンバーひとりひとりが、真剣な表情で役になりきり、精一杯演じる姿には、観客の心にも感動を呼ぶものとなりました。

 

 

 

 


「最初は、ストレッチや体操が多くて、身体が痛くてしょうがなかったのですが、すっかり柔らかくなって、お稽古が待ち遠しくなりました。初めて知り合った人たちと、本当に仲良くなりました。おもしろかったです」と、語る義経の左遣い(ひだりづかい。パペットの左手を操る)とハッチョウトンボ役のコンさん。
 また、明日香役のともちんさんは、「パペットを扱うのがとても難しかったです。でも二人で息を合わせたり、人形のおかげでセリフを言いやすくなったりして、だんだんとその役柄になりきることができたと思います」と、ニコニコの笑顔。

そして、「お母さんと一緒に参加しました。舞台裏の仕事がわかったし、いろんな経験ができてよかったです。みなさんにありがとうっていう、あったかい気持ちを感じています」と、真摯に語るのは、緑の妖精と龍役を演じた小学生ヨッシー君。
さらに、圭司と乙川役のよっぴーさんは、「仕事をしながらの稽古が大変でしたが、自分に子どもができたとき、よりよい岡崎に住めるように、この天使の森の良さが伝わると嬉しいなと思います」と、優しい笑顔を見せてくれました。


今の子どもたちが、誰かのために命を大切にして、
自分の生きがいを見つけていけるように

 

 

 

 

 

 小原さんは、5歳の時、父親に連れられて山に入ったところ、足をすべらせてしまいましたが、「一本の木の枝」によって命を助けられたそうです。その幼いころの経験が、ゆっくりと小原さんの中で育まれました。「自分の夢って何だろう、と考えた時に、ふと5歳の自分を思い出したんですね。今思えば、木材会社を経営していた父親の後継ぎ教育として、山へ連れて行かれたのかもしれませんが、自分は自然に生かされている、と気づいた最初の経験でした。このごろ、10代の若者が自分の命を自分で絶ってしまう事件が増えてきました。とても悲しいことです。この劇は、多感な中学生を主人公にすることによって、子どもたちが自分の生きがいを見つけ、自分が生きながらも、誰かのために生きている、ということを感じてもらいたいと願ってつくりました。今後は、どこかの学校で、この劇を受け継いでいってくれたら嬉しいですね」と、小原さんは心から期待しているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 フィナーレは、出演者が観客の間に入り、楽しくテーマソングを披露。「感動して涙が出ちゃいました」「亡きおじいちゃんに逢いたくなりました」等々、会場にいるひとりひとりの心の中に、それぞれの人生への思いが温かく流れ出したような、笑顔あふれる素晴らしい舞台となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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