岡崎ルネサンス

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『すべての子どもたちに幸せを~「赤ちゃん縁組」愛知方式がつないだ命~』

 

今回ご紹介するのは、NPO法人CAPNA(子どもの虐待防止ネットワーク・あいち)の理事長を務める萬屋育子(よろづやいくこ)さんです。萬屋さんは、愛知県の社会福祉職として就職し、県内の児童相談所や福祉事務所などに勤務。平成2年から平成9年までの7年間は、岡崎児童相談所(現在の西三河児童・障害者相談センター)にも児童福祉司として勤務していました。そして、刈谷児童相談センター長を最後に定年退職、その後愛知教育大学特任教授を経て、平成27年からNPO法人CAPNAの理事長を務めています。
萬屋さんは、設立当初からその活動に加わり、現在は理事長として「赤ちゃん縁組」の講演依頼や取材を受けて、社会的養護下の子どもたちのための支援活動を精力的に行なっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


<「赤ちゃん縁組=愛知方式」とは>

「赤ちゃん縁組」とは、産みの親が育てることができない赤ちゃんを、生まれる前から妊婦さんの相談にのり、特別養子縁組を前提とした里親委託によって、生まれてすぐから家庭の中で育てる取り組みのことです。
「 昭和51年『赤ちゃん縁組無料相談』を全国展開していた愛知県産婦人科医会の手法に、児童相談所の児童福祉司だった矢満田篤二(やまんたとくじ)さんが、子どもの視点を加え、子どもを迎える夫婦に厳しい条件をつけて、昭和57年、全国に先駆けて初めて、愛知県の児童相談所の業務として、新生児を里親さんに委託したのが『赤ちゃん縁組=愛知方式』の始まりです」と、にこやかに語る萬屋さん。
特に、生まれたばかりの赤ちゃんを里親登録した方のうち、「養子縁組を希望する里親」に、特別養子縁組を前提の里子として、赤ちゃんを委託する方法が、「愛知方式」と呼ばれ、平成23年に厚生労働省から出された「里親委託ガイドライン」の中でも、「赤ちゃん縁組・愛知方式」が紹介されています。

 

 

 

 

 

<岡崎児童相談所でのさまざまな出会いが今につながる>

萬屋さんは、矢満田さんとの共著の中で、「私は、平成2年に岡崎の児童相談所で、矢満田さんと同じ職場になりました。それまでも、矢満田さんの活躍ぶりは耳にしていましたが、熱心に取り組まれていた里親制度に基づく赤ちゃん縁組について、いろいろと勉強する機会を与えられ、私も実践するようになっていったのです。また、当時の岡崎市民病院の小児科医の先生やケースワーカーにも本当にお世話になりました。いつも突然の依頼に真摯に対応していただいたり、不登校児の精神的な問題や母親との関係等についても、様々な助言をいただいたりしました。また児童相談所としての役割や重要性を再認識したのもこの頃です。人と人とのつながりが、とても複雑な問題を解決してくれたように思います」と、語られています。
萬屋さんたちは、望まれない妊娠をした女性や、施設入所ではなく養子に出したいという親、子どもがなかなか授からないために養子を迎えたいという夫婦などの相談ケースにも真摯に向かい合い、「子どものために」と東奔西走し、全国の児童相談所では取り組まれることが少ない「赤ちゃん縁組」を確立していきました。

 

 

 

 

 

<里親とは>

「里親」とは、親の病気や離婚、虐待など様々な事情により家庭で生活できなくなった子どもたちを預かり、温かい愛情と家庭的な雰囲気の中で養育してくれる方のことをいいます。
また「特別養子縁組」とは、新設された養子縁組制度のことで、生みの親との法律的関係は終了し、戸籍欄は「長男、長女」(普通養子縁組は「養子」)と記載され、養親からの離縁はできない、という特徴があります。

 

 

 

<萬屋さんと矢満田さんの思いを受けて、里親推進を広める柴田さん>

萬屋さんは、児童福祉司として児童相談所に勤務していた時、乳児院や児童養護施設で暮らす子どもたちと接していくなかで、親が一度も会いに来ない子どもや、親を知らずに育っていく子どもたちのことがとても気になっていたそうです。
「日本では、親が育てられない子どもは、ほとんどが乳児院や児童養護施設へ預けられています。先進諸国で、このような集団型施設養護に重点を置いているのは日本くらいです。私たちは赤ちゃん縁組をする里親を増やし、家族という温もりの中でスクスクと育つ子どもたちを応援していきたいと努力しています」。
そんな萬屋さんと矢満田さんの思いを受けて、岡崎市内で里親としても登録
し、愛知県の里親委託推進員として、10年以上里親担当業務を続けているのが柴田千香さんです。柴田さんは、学生時代、岡崎市内の児童養護施設へボランティアに行き、子どもたちとふれあったことにより、「里親になりたい」と思いました。そこで、ご両親を説得して里親登録をしてもらい、養護施設から二人の子どもを自分の家庭へ迎えました。その後もさらに受け入れを増やしています。そして、柴田さんのお母様は、愛知県の里親連合会長も務められるほどのご活躍ぶりです。また、他の里親さんたちからの信頼も厚く、愛知県の里親委託推進・赤ちゃん縁組の推進のために、日々一生懸命に努力されています。

 

 

 

 

 

 

<里親支援の意識が高い岡崎市・西三河地域の人々>

愛知県では、昭和57年に初めて新生児の里親委託を行ってから、平成27年度末までに、197組の親子が誕生しています。少しずつですが、児童相談所が赤ちゃん縁組に取り組み、新しく誕生する親子が増加しているそうです。
平成の初めごろ、矢満田さんと萬屋さんが親子を結びつける手助けをしたご家族が、岡崎、西三河地域にもいらっしゃるとのこと。そのころの赤ちゃんたちはすでに立派に成人しているそうです。また、特にこの岡崎や西三河地域は、里親家族や養子縁組家族の数が、県内の他地域に比べても多く、里親支援の意識も高いそうです。これらは、やはり、岡崎児童相談所での矢満田さんと萬屋さんの努力の賜物、そしてその二人の思いを受けとめて広げていく柴田さんという貴重な存在があったからでしょう。

 

 

 

 

 


<CAPNAを通して赤ちゃん縁組を広めたい。すべての子どもたちに幸せを>

「児童虐待で亡くなる子どもは、0歳0か月0日が最も多いんです。つまり、生まれたと同時に命を絶たれているのです。どこにも相談できずに、精神的にも肉体的にも追い込まれ、生まれてすぐの子どもの命を奪ってしまった母親に、相談できるところやサポート体制が整っていたら・・・。また、赤ちゃん縁組という方法があることを伝えることができていたら、と思うと、もっと救えた命があったかもしれません。これからも、里親制度を活用して、妊娠中から相談にのり、生みの親から育ての親への橋渡しを、全国の児童相談所が取り組めるように応援していきたいと思っています」。

 

 

「すべての子どもたちが、生まれてきてよかったなと思えるような人生を送ってほしい」と語る萬屋さん。その優しい笑顔は、深い愛情に満ちあふれていました。

 

 


 

 

 

 

 

CAPNA(Child Abuse Prevention Network Aichi)
※日本で3番目の子ども虐待防止の民間団体。平成7年10月、名古屋に設立されました。

西三河児童・障がい者相談センター

公益財団法人全国里親会

 

 

 

 

 

 

 

 

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