岡崎ルネサンス

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「大きな舞台でも堂々と自分の力を発揮!東京2020パラリンピックをめざして」

今回は、100メートル平泳ぎの国際大会強化指定選手として活躍する加古敏矢さん(21歳)をご紹介します。

 

 

2歳で自閉症と診断され、療育の一環として水泳に出会う

「ひとかき、ひとけりでスーッと進むところが好きです」。
平泳ぎの魅力を笑顔で語ってくれる加古敏矢さん。2歳の頃から水泳が生活の一部としていつも身近にありました。
「敏矢は、2歳の頃、ことばがなく、目が合わない、常同行動、多動などが見られ、自閉症と診断されました。その後、療育の一環として岡崎市福祉の村にあった母子通所施設のめばえの家(現在の岡崎市こども発達センタ-)に通い、週に1度、親子で岡崎竜城スイミングクラブにも通い始めました」と母親の久未子さんは振り返ります。

 

 

 


2017年度一般社団法人日本知的障害者水泳連盟の
国際大会強化指定選手として飛躍

ことばを発しない敏矢さんと気持ちをわかりあえるようになるまでには、親としてさまざまな苦労があったそうです。しかし、敏矢さんは、たくさんの人の力を借りて、すくすくと育ち、少しずついろいろなことができるようになっていきました。やがて、数々の水泳競技会でも上位の成績を収めるようになり、2017年度の一般社団法人日本知的障害者水泳連盟・育成選手及び国際大会強化指定選手(B指定)に選ばれるまでに成長しました。
さらに、9月30日から開催される「2017World Para Swimmingメキシコ大会」の出場が内定し、8月、9月には国内外の高地トレーニング合宿 へ出かけるそうです。敏矢さんは、100メートル平泳ぎ(知的障害者SB14クラス)で、世界ランキング第9位(2017年6月現在)を獲得しています。

 

 

 

 

水泳と仕事の両立をめざして、素晴らしい練習環境を手に入れる

敏矢さんは、岡崎市立葵中学校から、愛知県立半田特別支援学校桃花校舎を経て、企業に就職。その後、水泳競技に専念するため、2016年12月に退職しました。
「だんだん、水泳と仕事との両立が難しくなってきたんですね。そこで、よく話しあって考えたところ、水泳をやりたい!と本人が言ったので、しばらくは水泳競技だけの生活を送っていました。でも、親としては、他のアスリートのかたのように、働きながら競技を続けることができるはずだと思い、将来のことを考えて、両立できる企業を探したんです」と、久未子さん。


そんな母の想いが叶い、敏矢さんは2017年5月から、「トヨタループス株式会社」に就職しました。そして入社後は、会社の水泳部で練習を開始。この会社との出会いが、敏矢さんのアスリート人生をより高みへと導いていきます。

「まず、練習環境がガラリと変わりましたね。今までは25メートルプールでしたが、トヨタスポーツセンターの50メートルプールをお借りして練習することができるようになったので、身体への負担も違います。でも競技大会に近いかたちで練習できるようになったのは、本人にとっても、とても良い環境に恵まれたと思いますね」と、語るコーチの築山克行さん。


築山コーチは、岡崎竜城スイミングクラブでも敏矢さんの指導をする機会がありましたが、奇跡的に深い縁があって、トヨタループス株式会社で敏矢さんの専属コーチを務めることになりました。


「ほんとに偶然だったんですよ。敏矢と、今度のコーチはどんな人かね~と楽しみにしていたんです。それで、築山コーチだとわかったとき本当に驚きましたが、敏矢には、初日に会うまで内緒にしていたんですよ」と微笑む久未子さん。
敏矢さんも「びっくりしました。とっても嬉しかったです。まさか築山コーチだったなんて」と、大感激したそうです。
「敏矢くんは、中学の頃に比べると、考え方も体格も格段にレベルアップしていますね。生活面でも、小さい子への対応の仕方や気遣い、目上の人への接し方や話し方など、随分と成長しています。水泳の専門的なこともよく勉強していますし、私がすべてを言わなくても、すぐに理解して、自分のものにしてしまいます。指導していても楽しいですよ」と、師弟の信頼関係がコーチの笑顔にあふれています。

 

 

 

 

 

 

毎日、バランスよく充実している
「仕事と水泳と私生活」

敏矢さんは、仕事を15時30分頃に終えて、17時くらいから19時までトヨタスポーツセンターでトレーニングをし、20時すぎには帰宅するそうです。
「最近は、早く寝るようにしています。だいたい23時くらいに寝ます。お風呂上りにはストレッチをしたり、くつろいだりします。でも、あともう1日、練習のお休みをほしいです。お願いします(笑)」と、愛嬌のある眼差しでコーチに懇願する姿に、まわりの人の笑顔を誘います。
また、敏矢さんの同僚には、200メートル自由形(知的障害者S14クラス)国内ランキング第5位(2017年5月現在)の小川春菜さん(19歳)がいます。毎日、小川さんとタイムを競い合ったり、トレーニングを一緒にしたりして、日々精進しているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

プレッシャーを力にかえて、
大きな舞台で堂々と自分を発揮

 

「2017年6月11日に、横浜国際プールにおいて、第20回日本知的障害者選手権水泳競技大会が行われました。その時に、選手宣誓をしたのですが、大きな声で堂々と自分の想いをことばにしていました。大きな舞台で自分を出せることは彼の持っている実力であり、またプレッシャーを力にかえていけるところも彼の魅力ですね」と、敏矢さんの成長ぶりに感嘆する築山コーチ。

 

 

 

 

 

 

 

 

障がいを受け止め、
褒めることを心がけた子育て

敏矢さんが社会人になってからは、ほぼ練習も見に来ないという久未子さん。
「敏矢は障がいを持って生まれてきましたが、たくさんの人から好かれるような人になってほしい。親として敏矢の障がいをしっかりと受け止め、素直でまっすぐな人になるように、大切に育てていこうと思って21年間育ててきました。そして、今でもなるべくたくさん褒めるように心がけています。毎日、嬉しい気持ちで生活できるようにしていくことが大切なのかなと思っています。私は、いつも敏矢に癒されてます。ホントなんですよ」と、語ります。
そして、敏矢さんは、「母には、いろいろとお世話になっているので、もっとお手伝いをしたいです。それに、身体を大切にしてもらって、長生きしてほしいです」と、心から感謝の気持ちを伝えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東京に行きます!」
力強くまっすぐな眼差しを輝かせて

「目標タイムは、100メートル平泳ぎで1分10秒をきること。今の自己ベストは1分10秒07。東京パラリンピックまでには、1分06秒まで行きたいです!めざします!!」と、力強く宣言してくれた敏矢さん。良き仲間、良き指導者、良き環境、そして良き家族に見守られながら、東京2020パラリンピックに向けて、新たな挑戦がはじまります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【掲載日:平成29年7月20日】

 

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