岡崎ルネサンス

岡崎の“〇”にナるまちのものがたり

巫女の舞、神輿、そしてパッカーン!中園町の熊野神社祭礼

インフォメーション
場所: 岡崎市中園町宮西10
ホームページ:
巫女の舞、神輿、そしてパッカーン!中園町の熊野神社祭礼

市制100周年記念事業で作成した「岡崎まちものがたり」には、各地区のさまざまな祭礼が紹介されています。今回は、本誌に掲載された数あるお祭りの中から、平成29年10月7日に行われた中園町の熊野神社祭礼を紹介します。

 

 


2つの学校の児童が
一緒に祭りを盛り立てる


 名鉄矢作橋駅から北へ500mほどのところにある中園町の氏神、熊野神社の祭礼は、毎年10月の初旬。矢作北学区の「岡崎まちものがたり」の特集ページではこのお祭りについて「巫女の舞の演奏は横笛(篠笛)とリコーダー」「懐かしのパッカーンおじさんも来るよ」と紹介されています。

古木に包まれた熊野神社

 

 

 祭りの1か月ほど前から笛と太鼓の練習、1週間前から巫女の舞の練習が熊野神社の社務所で行われていると聞き、笛と太鼓の練習を覗いてみました。
 演奏を担当するのは小学校5・6年生の9人で、女子が7人、男子が2人。そのうち女子のうち2人は矢作東小学校の5年生で、他は矢作北小学校の児童とのこと(中園町は小学校の位置の関係で矢作北学区と矢作東学区に分かれています)。もちろん巫女の舞も両校の児童が参加します。
 学区が異なるとはいえ、同じ目的を持った同世代が集まれば和気あいあい。休憩時間こそにぎやかですが、音合わせになると譜面を見つめる目つきもキリッ。

 
練習に集中する演奏担当の子どもたち

 

 

 練習を見ていると、「岡崎まちものがたり」の記事にあったように篠笛の中にリコーダーの子が混じっていました。演奏指導の山本克夫さん(中園町在住)に聞くと「篠笛は大人でも難しいですからね。何度かやってみて、できなさそうだったらリコーダーを吹いてもらっているんですよ」。じっくり聴いてみるとしっかりしたハーモニーを奏でており、意外に違和感はありません。
 山本さんによると、かつて巫女の舞の演奏は、西本郷町(矢作西学区)の雅楽隊にお願いしていたとか。しかし昭和50年代、その西本郷で雅楽が行われなくなると生演奏ができなくなり、数年間はやむなくテープに録音した演奏を流して巫女の舞を舞ったといいます。

指導に熱が入る山本克夫さん(中央)

 

 

 それではあまりに寂しい、と立ち上がったのが、当時まだ40代だった山本さんをはじめとする熊野神社の若手の氏子たち。1983年(昭和58年)に拝殿が再建されたのを機に、西本郷の人に稽古をつけてもらい、演奏を担当するようになりました。
 現在のように、子どもが演奏するようになったのは2006年(平成18年)。山本さんは「やり始めた大人がみんな高齢化したのでね」と笑いますが、子どもに参加してもらうことで、伝統の祭礼を未来へ繋げていこうとしたのでしょう。

 

 

 

にぎやかな神輿の練り歩きに
優雅な巫女の舞と演奏


 さて、祭礼当日。開始時間と聞いていた14時少し前に神社へ行くと、出店も並んだ境内には老若男女であふれ、お祭りらしいにぎやかなムード。すでに巫女の舞は始まっており、風格ある拝殿の前に敷かれた莚(むしろ)の上で、2人の巫女が優雅に舞っています。

拝殿の前での巫女の舞

 

 

 14時になると、法被を着た子どもたちは5班に分かれ、神輿の練り歩きに出発。獅子と太鼓を従えた神輿の一行は、それぞれが2時間ほどかけて町内をくまなく巡ります。神輿は、酒樽に紙の花などで華やかに飾り付けた手作りのもの。祭礼前に子どもと保護者で作るのが習わしとか。

太鼓と笛を鳴らして町を行く神輿の一行

一行の到着を待ちかまえ、獅子にご祝儀を渡す人も

 

 

 神輿が町内に出て行くと境内は少し静かになりますが、その間も巫女の舞は続きます。3回舞うと少し休憩、その後また3回舞って休憩…を6回ほど繰り返すとのこと。2人1組で、拝殿の中と外で同時に舞います。
 拝殿の中からは、ゆったりとした笛と太鼓の音が聞こえてきます。演奏の子どもたちは神様に向って右側に陣取り、楽譜を見ながら真剣な表情。音と舞はバッチリ揃っていました。

厳かな雰囲気の拝殿内

練習の成果を発揮する演奏の子どもたち

 

 


響く破裂音、立ちのぼる煙
パッカーンおじさん登場!


 さて、このお祭りでは注目のアトラクション(?)があります。それは「岡崎まちものがたり」の記事にも登場した「懐かしのパッカーンおじさん」。
 パッカーンとはポン菓子のこと。ポン菓子はお米に圧力をかけて膨らませた素朴なお菓子ですが、氏子の1人がポン菓子機を持っており、境内でできたてを配っているのです。米を膨らませるとき大きな破裂音がすることが「パッカーン」の名前の由来です。
 そのパッカーンおじさん、一体誰かと思ったら、演奏を指導していた山本さんでした

年代ものの機械ともどもまだまだ現役!依頼に応じて他地区の祭りにも頻繁に出向いています

 


 山本さんがパッカーン作りを始めたのは30年も前のこと。「近所の酒屋さんがパッカーンの機械を持っていた露天商を紹介してくれ、その方から購入して使い方も教えてもらったんです。買い換えたモーター以外はすべて昭和20年代に製造されたもの。これを扱うために危険物取扱者の資格も取りましたよ」。
 以前は、祭礼前日に作り置きしたものを配布していたそうですが、いまひとつ子どもたちの食い付きがよくないので、周りに勧められて平成27年から実演することにしました。すると、たちまち大評判に!おいしいのは言うまでもありませんが、なにしろできる時の音と煙がものすごいインパクト。


「さあ、はぜるぞ!」と声を掛けると子どもたちが集まってきます。おもむろにハンマーで籠のストッパー部分を叩くと…

パッカーンというより「ドカン!」という巨大な破裂音ともに煙がモクモク。思わずのけぞる迫力!


できたてのポン菓子を大盤振る舞

 

 

 山本さんは祭礼の間じゅうパッカーン作りに励み、この日は米約7合半(1kg強)を使用してタライ15杯分も作りました。できたては、あったかくて、ほんのり甘くて、サクサク。子どもでなくても病み付きになりそうです。

最後は恒例の岡崎城西高校和太鼓部による演奏。校舎は中園町にあります

 

 

 神輿は16時頃に全組が戻り、巫女の舞も16時半頃に終了。17時からは岡崎城西高校和太鼓部「彩輝」のメンバーが登場し、溌剌とした演奏を披露。祭りに花を添えました。
 古くから続く地域の祭礼は、地域の皆さんによって受け継がれてきました。歴史と伝統を感じる地元のお祭りに、みなさんも参加してみては?

 

 

 

 

中園町・熊野神社祭礼data
■開催日:毎年10月上旬の土曜日

 

関連学区まちものがたりリンク
矢作北学区 矢作北学区まちものがたり
矢作東学区 矢作東学区まちものがたり

 

ライター:内藤昌康
1971年生まれ、岐阜県出身・西三河在住。高校時代、西岡崎駅や愛知環状鉄道の開業初日を見届けるため岐阜からわざわざ岡崎を訪れた経験を持つ岡崎マニア。遠隔地で岡崎産石造物を探して原稿を書くのが趣味。

 

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