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火渡り神事で厄落とし、男川三尺坊秋葉山大祭

インフォメーション
場所: 愛知県岡崎市岡町西野々宮17
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火渡り神事で厄落とし、男川三尺坊秋葉山大祭

今年、良いことがあった人も、そうでもなかった人も、1年の厄を落として新たな年を迎えてはいかがでしょうか?「身を浄めて新年を迎えたい」というあなたへ、美合学区の総持院で行われる男川三尺坊秋葉山大祭をご紹介します。
 
 
 
 
 
根強い秋葉信仰により
待ち望まれて復活した神事
 
 
 30年以上前に1度途絶えてしまっていた男川三尺坊秋葉山大祭。2010年(平成22年)に、ご住職の鈴木泰道(たいどう)さんが復活させ、今年で8回目を数えます。岡崎市は、もともと秋葉信仰の盛んな土地でもあるのですが、総持院のある岡町には戦争中に落とされた3発の爆弾がどれも不発だったという逸話が残り、地元では「秋葉山のおかげ、総持院のおかげ」と言われてきました。そうした背景もあり、信仰心に篤い近隣の人たちをはじめ、市内各地からも男川三尺坊秋葉山大祭の火渡り神事の再開を望む声が数多く寄せられたそうです。“周囲の声に耳を傾けて、それを広めること”を大切にしているご住職は「みなさんの気持ちに応えたい」との思いで、行者さんを探し出したり、神事について調べたりして、大祭を復活させました。

 
 
 
 
火伏せのご利益がある秋葉山大権現と
お寺の由緒も知っておきましょう
 
 
 約800年前に病気平癒を祈願する薬師堂として建立されたことを起源に、約300年前の享保3年(1718年)に開山された総持院(正式名称:薬王山 総持院)。阿弥陀如来坐像を本尊とする、由緒ある臨済宗のお寺です。
 また鎮守様は、火伏せのご利益がある秋葉山大権現です。秋葉山大権現は秋葉三尺坊大権現ともいわれ、総持院の立つ薬王山の守り神として男川三尺坊大権現と呼ばれています。夢のお告げで総持院に迎えられたというご神体は、行基菩薩による一刀三礼(1回彫るごとに3回礼をする)で彫られたもので、静岡県浜松市の秋葉山本宮秋葉神社のご神体と同木で作られたとも伝えられています。
 こうした由緒があるため、以前の神事に携わっていた行者さんたちも復活に向けて積極的に協力してくれたそうです。大がかりな神事は、ほぼ昔のとおりに再現されています。
 
総持院の秋葉大権現像。通常は非公開であり、見ることができない秘仏。鼻の大きな大天狗ではなく、くちばしのある烏天狗の姿をしています。迫力のある表情に圧倒されます
現在、100年ぶりの御開帳がされており、岡崎市美術博物館の展覧会「三河の秋葉信仰‐火伏の神の系譜‐」で実物を見ることができます。会期2017年11月25日(土)~2018年1月14日(日)のうち、後期2017年12月19日(火)~2018年1月14日(日)の期間で展示される予定です。興味のあるかたは、ぜひお出かけください
総持院本堂
 
 
 
 
 
さあ、厄払いに出かけましょう
当日のスケジュールの確認です
 
 
 今年(2017年)の男川三尺坊秋葉山大祭は、12月17日の日曜日に開催されます。当日は10時から13時までお札(火伏せ)の祈祷が受けられますので、お札の欲しいかたは時間内に受付をしてください。祈祷は10時から随時行われ、13時に一斉に大般若経があげられます。
厳かな雰囲気が漂う中で大般若経があげられます
 
 
 
 そして14時から火渡りと護摩供養の受付が始まります。火渡りは200人限定(有料)で、火渡りの後に厄除けのお守りを授けてもらえます。護摩供養は護摩木(有料)に願い事を書いて奉納すると、心願成就のために焚き上げてもらえます。
 あたりが薄暗くなってくる17時頃、火渡り神事の祈祷が始まります。火が点けられるのは18時頃ですが、余裕を持ってお出かけください。
火渡りの参加者に授けられる厄除けのお守り
護摩供養のために願いを書き入れる護摩木
夕暮れの総持院
結界が張られ、護摩炊きの用意がされ、準備が進められていきます
 
火を点ける準備ををする行者さん
神事を待つばかりの、静けさに包まれた境内
 
 
 
 点火後、炎は一気に燃え上がり、瞬く間に夜空に火の粉を舞い上げます。荘厳で幻想的な炎に目を奪われていると、12月の夜の冷えた肌に熱気が伝わってきて、いよいよ神事に臨む気持ちが高まってきます。
 それでは火を渡る準備をしましょう。靴を脱ぐ場所や、足を拭くタオルなどはお寺で用意してくれているので、持ち物などは気にしなくても大丈夫。ただし、お出かけの際の服装には注意してください。火の粉が舞うので、アクリルやポリエステル、綿やレーヨンなど、燃えやすい生地の服は避けてくださいね。素足になって準備ができたら、順番の列に並びましょう。
点火後も行者さんは燃え上がる炎に向かって祈祷を続けます
炎は想像より高く立ち上り、火の粉を巻き上げていきます
 
 
 
 
 燃え盛る炎が少し落ち着いた頃、行者さんたちが長い竹を使って火渡りの道を作っていきます。道が整えられると、まだ赤々とした炭も見える火の中を、先達の行者さんたちは「臨(りん)、兵(ぴょう)、闘(どう)、者(しゃ)、皆(かい)…」と九字を唱え、心静かに渡っていきます。その後に続いて信徒(参加者)が渡ります。一瞬息を止めて躊躇したり、「熱っ」と声をもらしたり、少し小走りになったりと、各々のペースで願い事を念じて渡っていきます。炎に照らされているせいか、気持ちが高揚しているせいか、頬を紅潮させながら真摯に祈りを捧げる姿が印象的です。
 渡り終えた参加者からは自然と笑顔がこぼれ、「これで良い年が迎えられる」「神聖な行事で身が浄められた」「清々しい心持ちになれた」など、厄落としの感想が聞こえてきます。こうして点火から約1時間30分ほどで神事は終了します
行者さんたちが火の山をかき分け、修行の道を開きます
歩く道筋にも赤々とした炭が見えます。ちょっとドキドキしますね
先達の行者さんが渡り、その後に信徒(参加者)が続きます
みなさん、手を合わせて慎重に渡っていきます
怖くなってしまったお子さんも、背負われて渡ることができました
 
 
 
 
 
火渡り神事復活のほかにも
ユニークな試みを実践するお寺
 
 
 今年は予定があって大祭に行けないというかたへ耳よりな情報です。総持院ではお寺に親しんでほしいと、さまざまな企画を実施しています。例えば、年5回ほど開催される大人向けの修行体験「一休」。内容は回によって異なりますが、読経、写経、座禅、法話、茶道、書道、陶芸などの体験ができます。また月1回は座禅体験も開催しており、来年の火渡りを待たずとも、精神統一や心身浄化の機会を設けてくれています。ほかにも夏休みの子ども向けの2泊3日の修行体験「三日坊主」や、寺ヨガ、寺婚活などの企画もしているそうなので、興味のあるかたはお問い合わせください。
修行体験「一休」で座禅をしている様子
ご住職の鈴木泰道さん。「気軽に来てもらえるお寺」が目標だそうです
 
 
 
 
 取材にお邪魔したのは、冬の足音が聞こえてきそうな時期ながら、季節外れに汗ばむ陽気の日中でした。出していただいたお抹茶には氷が入っており、私が冷抹茶を初めていただくことを伝えると、「今日は暑いですからね。ただ相手のことを考えて行動することが、茶道のおもてなしです」と、穏やかに笑うご住職。誰かのことを考え、その思いを受け止め、それに応えたからこそ神事は復活したのですよね。ご住職とお話をしただけで、随分、心が洗われた気がしました。
 
 
 
 
 
◯取材協力:岡崎市美術博物館
 
◯男川三尺坊秋葉山大祭data
■開催日:12月17日(日)
■時間:
10:00  お札の祈祷の受付開始(13時まで)
13:00  大般若経
14:00  火渡り・護摩供養の受付開始
17:00     火渡り神事開始
17:45~ 点火
■問合せ:総持院
■電話番号:0564-51-2083 
■駐車場:あり
※大祭当日は臨時駐車場(うちぼり医院、アイセイ薬局岡町店の駐車場を利用)が用意されていますが、数に限りがあるため乗り合わせ等のご協力をお願いします。
 
〇関連学区まちものがたりリンク  美合学区まちものがたり
 
〇ライター:小嶋かおり
愛知県豊田市(山間部)出身。三河を中心としたタウン誌の編集に始まり、フリーランスとなって東海地方の旅の情報誌を中心に執筆。生家を出て初めて住んだ場所も、高校も、初就職も、現在の出没地も岡崎…「隠れ岡崎市民」を自負しております。
 
〇掲載日
2017年11月10日

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