岡崎ルネサンス

岡崎の“〇”にナるまちのものがたり

太古のロマンと旧街道の情緒をたどる「牛乗山&藤川宿ウォーク」

インフォメーション
場所: 岡崎市藤川町(名鉄藤川駅)
ホームページ:
太古のロマンと旧街道の情緒をたどる「牛乗山&藤川宿ウォーク」

東海道五十三次の37番目の宿場、藤川宿。脇本陣の門などに往時の面影を残す旧街道と、その街並みの背景ともなる牛乗山(標高175m)の登山は藤川定番の散策コースです。むらさき麦の麦踏みも風物詩となった冬の藤川宿周辺を歩いてみませんか?

 

 


藤川散策の定番コースは、
体力を使う牛乗山から行きます

 

 藤川宿と牛乗山(うしのりやま)、どういう順番で行くべきか。出発時間にもよりますが、「後半に疲れたくない」「登山はなるべく明るいうちに」などを考えると、やはり先に牛乗山山頂を目指し、後から藤川宿へ行くコースが良いでしょう。今回のスタート&ゴールは名鉄藤川駅です。
 まず駅の北側を通る国道1号へ。豊橋方面へ右折して250mほどで、右手に地下道の入口があるので、道路の反対側へ渡ります。地下道から直進して三差路を右折し、次の三差路を左折すると関山神社(せきさんじんじゃ)里宮の鳥居が見えるので石段を登って境内へ。

 
関山神社(里宮)。この里宮参詣への鳥居や石段は藤川宿の本陣に向かって配置され、今でも藤川町の氏神として祀られています。この周辺は赤山と呼ばれていたことから「赤山大明神」ともいわれます
 
本殿を正面にして右手にある登り口

 

 

 本日、少々きついのは、ここから奥宮までの約20分の登山です。フカフカの木の葉の道が続く、とても気持ちの良い山道なので、写真を撮ったり、鳥の声に耳を澄ましたり、自然を満喫しながらゆっくり散策するのがオススメです。ただ、ところどころに苔が生えた粘土質の土が見えます。滑りやすいので注意してください
 奥宮に近づいて少し急な道を抜けると、目の前にパッと平坦な道が開けます。少々体力を使って、体もポカポカになって、ちょうど休憩したい頃合いで奥宮に到着します。木陰もあるので絶好の休憩スポットです。
 
木々のトンネルの先に奥宮が見えてきます


 ここからは東へ道なりに進んで道路に出て、左手に一畑山薬師寺を見ながら直進です。一畑山薬師寺駐車場の南東角に岡崎市指定文化財の案内板がありますので、その左手奥方向へ進んでください。少々わかりづらいですが、案内板を目印に東へ進んで広場に出て、そこから南へ進むと登りの道は1か所しかありません。

 
牛乗山第三紀末波蝕巨礫群の説明が書いてある岡崎市指定文化財の案内板
 
看板を後にすると広々した場所になっています。さらに進んで南(この写真の右奥)方向へ

南側に1本の道筋がありますので、これを登ってください
 
登ってすぐ2本に別れる道がありますが、これを左方向へ

 

 


1500万年前の水底が
今は標高175mの山頂に

 

 登り口からものの1分で目の前に“はげ山”があらわれます。あら、はげ山だなんて失礼な。ここが岡崎市天然記念物の「牛乗山第三紀末波蝕巨礫群」なのです。難しい名称ですね。“第三紀”とは地質時代区分を表す言葉です。地質時代といえば、最近、千葉県市原市の77万年前の地層からチバニアンの名が刻まれることになりそうだと話題になりましたね。“波蝕”は波による浸食、“巨礫”は大きな岩のことです。
 言葉の意味を押えたところで簡単に言いますと、ここは1500万年前の浅い水底だったと考えられている場所。浸食によって削り取られたデコボコ面の上に巨礫や砂礫が乗って、波の作用で滑らかに磨かれたと推定されています。つまり何がスゴいのかといえば、太古の地面に直接触ることができてしまうのです。これは大変珍しいことだそうです。
 
はい、出ました。こちらが牛乗山第三紀末波蝕巨礫群です。このまま高いところを目指して直進すると山頂です。デコボコで滑らかな地面が特徴で、SF映画で見る別の惑星のような風景に目を奪われます
 
抜けの良い眺望。遠くに市街地が見える
山頂から西方面の景色

 


 さて、山頂の地形と景色を楽しんだら、南側へ下っていきましょう。前半は少々急な場所もありますが、歩きやすい山道です。後半は、三河八十八ケ所弘法巡りの道に出ますので、お地蔵さんの表情も楽しめます。徳性寺(とくしょうじ)に出てからは国道を豊橋方面へ行き、市場町交差点で道路の反対側へ渡って右折して藤川宿へ向かいましょう。
 
山頂から東方向に真っすぐ下ると、この岩と道標があります。この写真の右方向に下山道があります

 

下山道へ向かう道です
 
案内看板の立つ、この分岐は右手に進んでください
 
三河八十八ケ所弘法巡りのお地蔵さん
 
徳性寺

徳性寺前から藤川団地方面を望んだ景色です。この景色を覚えておいてください
 
津島神社。こちらは市場町の氏神です

 

 


旅人気分を盛り立てて
いよいよ藤川宿へ

 

 牛乗山登山でほどよく歩き疲れたところで、当時の旅人の気分になって藤川宿へ入っていきましょう。側道に宿場の東の出入り口である東棒鼻が見えてきます。この前の小路を通って突き当たりを右折し、再度突き当たったところで右前方に常夜燈が見え、左方向へ進むと宿場の中心へ向かいます。このクランク状の道は「曲手(かねんて)」と呼ばれています。
 
東棒鼻。ここから西が藤川宿であることを示しています。この小路を直進してください。この先は歴史的、文化的価値を有する歴史国道として「歴史国道東海道藤川宿」に選定(国土交通省/平成8年3月)された道です
 
常夜燈(秋葉山灯籠)

 

 

 藤川宿は全長約1㎞。次は藤川宿資料館を目指します。途中、右手に津島神社の参道があり、旧街道から続く道が新しい交通網に分断されている風景も見られます。左手に粟生人形の店舗が見えてくると、そのほぼ真向かいに高札場跡や問屋場(といやば)跡があります。さらに進むと右手に藤川宿本陣跡の広場、その向かいに商屋だった銭屋があり、すぐに資料館へ到着です。
 
津島神社の参道。ここからは見えませんが鳥居の先に津島神社があります。市場公民館横には今では珍しい気の電柱が立っています


先ほどの徳性寺からの風景を覚えていますか?こちらが反対側からの眺めです。国道と線路に分断された道がよくわかります
 
高札場跡の案内板。幕府からの法度や掟書などを高く掲げて人々に知らせていました
 
藤川宿本陣跡

 


藤川宿とはどんなところ?
栄えていた頃の面影に触れる

 

 1601年(慶長6年)に徳川家康公から朱印状が発給されたことで成立した藤川宿。東海道五十三次の宿場のひとつとして、江戸時代には大変にぎわったとか。その当時の名残りを色濃く残すのが、1719年(享保4年)建造の藤川宿脇本陣の門です。隣家の火災によって屋根や白壁など修復されている部分もありますが、原形をよく残しており、藤川宿一番の見どころといえます。館内には藤川宿の資料が展示されており、6枚現存する高札の一部や街道の全体像がわかる模型展示などがあり、その歴史に触れることができます。
 
藤川宿資料館(藤川宿脇本陣跡)。入館無料。9時~17時。月曜日、年末年始休館
 
高札

 

 

 資料館の見学を終えたら、再び西へ。約300m行くと岡崎市立藤川小学校の前に西棒鼻があります。藤川宿はここまでです。この後は、本日2回目の岡崎市天然記念物である藤川のまつ並木を目指します。やはり最後まで旅人気分を味わうために、松の巨木が立ち並ぶ旧街道は歩いておきたいものです。松並木が途絶えて国道に出たら、右折して藤川駅へ戻りましょう。

 
資料館を後にして右手にあらわれる、関山神社の灯籠。もうおわかりですね。この道の先に関山神社があるんですよ
 
西棒鼻(藤川小学校前)


十王堂。内部には地蔵菩薩の立像、その両脇に十人の王の像が安置され、死後に極楽浄土に行けるか、地獄へ落ちるかの裁判を司る場として、地域の人々の信仰の対象となっています。平成29年12月に復元されました
 
藤川のまつ並木

 

 


現実と異空間を旅するような
ユニークな散策を楽しみました

 

 1500万年前の地形が見える山頂と、江戸時代の情緒を味わえる宿場町をめぐるコースは、ときどき現実へ戻りながら異空間へタイムスリップするような散策を楽しめました。近場の山歩きとしてもおすすめです。本日の装備ですが、帽子、温度調整のしやすい防寒の服装、軽登山用の靴を身に着け、持ち物は、飲料水、チョコレート、地図、コンパス、十徳ナイフ、カメラなどでした。急な斜面もあるので、手袋も持っていくと良いと思います。ちなみに今回は駅を起点にしましたが、藤川宿には無料駐車場も完備されていますので、みなさんのスタイルに合わせて出かけてくださいね。

 

<参考>

【距離と時間
start●藤川駅
↓1900m/約40分
●牛乗山山頂 

↓約1800m/約40分 (総距離:約3700m/約80分)
●東棒鼻 
↓約1000m/18分 (総距離:約4700m/約100分)
●藤川宿資料館/藤川宿脇本陣跡
↓約300m/約7分 (総距離:約5000 m/約105分)
●西棒鼻
↓約700m/約15分 (総距離:約5700 m/約120分)
●藤川まつ並木(起点)
↓約400m/約10分 (総距離:約6100m/約130分)
●藤川まつ並木(終点)
↓約1000m/約20分 (総距離:約7100m/約150分)
goal●藤川駅

 

【位置マップ

 

 

 

 

 


〇参考文献:
「新編岡崎市史」/発行:新編岡崎市史編纂委員会
「藤川宿ご案内(リーフレット)」/発行:藤川学区社会教育委員会・藤川まちづくり協議会
「藤川宿散策のしおり‐藤川宿の歴史と伝説‐」/発行:藤川宿まちづくり研究会

 

〇関連学区まちものがたりリンク  藤川学区まちものがたり

 

〇ライター:小嶋かおり
愛知県豊田市(山間部)出身。三河を中心としたタウン誌の編集に始まり、フリーランスとなって東海地方の旅の情報誌を中心に執筆。生家を出て初めて住んだ場所も、高校も、初就職も、現在の出没地も岡崎…「隠れ岡崎市民」を自負しております。
 
 
〇掲載日
2017年12月21日

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