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祝!リニューアル 男川浄水場

インフォメーション
場所: 愛知県岡崎市大平町塚畑1
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祝!リニューアル 男川浄水場

1965年(昭和40年)に通水を開始した男川浄水場が、新たに生まれ変わりました。岡崎市の水道供給量の約半分を送水する基幹浄水場の注目すべき役割や工夫についてご紹介します。

 

 

 

 

経験からの知恵と工夫が満載!
リニューアル後の注目ポイント

 

 半世紀もの時を経た老朽化に伴って施設・設備を一新し、平成29年12月より通水を開始した男川浄水場。新施設は何がどう変わったのか?どんなところがスゴいのか?を知りたくて、今年(平成30年)2月の完工式が迫るなか、取材にお邪魔してきました。
 新たな浄水場は以前の南東側の隣接地に移設され、敷地面積は東京ドームより少し広い約5万6000平方メートル。注目ポイントは浸水や地震などへの災害対策なのですが、この背景には男川浄水場が経験した苦い経験があるのだとか。1971年(昭和46年)8月31日のこと、台風23号がもたらした大量の雨によって浄水場が浸水して、市内約3万400戸が断水。当時の岡崎市の人口は約20万人、3世代の同居も多かったと考えると、その影響の大きさを知ることができます。「岡崎市の水道の安心・安全・安定を1番に考える私たち水道マンにとって本当に悔しい出来事でした。だからこそ災害に強い施設を目指しました」と、水道浄水課長の福澤直樹さん。管理棟に免震構造やクラウドシステムを導入し、施設を全体的に高い場所に設置するなど、万全の災害対策で24時間365日の監視体制を実現しているそうです。

新しい施設が立ち並ぶ場内

入り口付近から緩やかな勾配になっています。そう、この建物を高い場所に設置することが浸水対策なのです

建物内の設備も高い位置にあり、外観からは内部がほとんど見えません。こちらも浸水対策です
 
中央管理室や水質監視室を備えた管理棟

24時間体制で水の安全を監視する中央管理室

水質監視室では、なんとメダカさんが活躍中。取り込んだ水の異変に気づかせてくれる工夫は昔からのこと。私たちのために、いつもありがとう

 

 

 

随所に見られる
コストを抑える工夫

 

 場内各所には不自然な空き地があるのですが、これは次回の建て替えを見込んで確保された用地。まるで伊勢神宮の式年遷宮みたいですが、別の土地への移設などの大規模工事を避けられ、コストダウンにつながります。また浄水過程では最初だけ動力を使って1番高い場所である着水井へ水を送り、そこから最後の浄水池までは動力を一切使用せずに水が流れる仕組みとなっています。まるでジェットコースターみたいですが、こちらも最小限の電力で動作させる知恵が生かされています。そして運営の面でも公共と民間が連携するPFI(プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ)手法を導入。設計・建設を行った事業者が維持管理を行うことで、経費などが抑えられる見込みです。そのほか、再生可能エネルギーの導入や、脱水ケーキの有効利用などのリユースの工夫も行われています。

建て替え用地。施設が完成していないかのようですが、これでいいんです

着水井。上部までポンプで水が送られます
 
太陽光、風力、小水力による発電もされています

ろ過処理などで発生した汚泥から水分を除いた物質は脱水ケーキと呼ばれます。園芸用の土として再利用されています

 

 

 


新旧ともに原理は同じ
浄水の仕組みをチェック

 

 建物は新しくなりましたが、浄水方法は新旧同じく凝集沈殿・急速ろ過方式です。その工程は取水から送水まで約8時間かかるのですが、その仕組みだけ、ごくごく簡単にご説明しておきましょう。乙川から取り込まれた水は、最初に、水に含まれる砂などを流しながら沈ませ、葉っぱなどのゴミを取り除きます。次に、活性炭で匂いを取り、薬によって固められた汚れ(フロック)も、同様に沈めていきます。最後に、塩素で消毒し、砂でろ過して飲み水が出来上がります。そう、仕組みはとっても単純なのです。だけれど、それを確実に行うことが、どれだけ大変なのか。重厚な施設を目の当たりにすると、よくわかります。そして逆に、小一時間で1周できる規模の施設なのに、岡崎市の約半分をカバーしているということに驚かされます。


取水してすぐにおおまかなゴミや砂、泥を取り除く、沈砂池(ちんさち)

混和池・フロック形成池では、水の中で羽根が回転して水と薬を混ぜ、汚れの固まり(フロック)を作っています

約50mを4時間かけて流れ、汚れの固まり(フロック)を沈める凝集沈殿池。ゆっくり丁寧にキレイな水を作ります

凝集沈殿池の最終段階です。キレイな上澄みだけがろ過池へと送られていきます

砂でろ過して飲み水にする急速ろ過池。水の勢いで泡がブクブクと出てきます

送水ポンプ。各家庭へ水を届ける配水場に送水しています

 

 

 

 

安全が当たり前という使命のもと、
浄水場を支えるスタッフの思い

 

 「過去の経験を活かし、さまざまな対策をして作られた施設です。みなさんに安全な水をお届けしたい」と、福澤さん。そして「水はやはり大切。みんなの命の源である水について、子どもたちに伝えていくことにも熱心に取り組んでいます」と、水道浄水課水質管理係長の荻野朋子さん。その言葉どおり、次世代を担う小学生の社会見学などには特に力を注いでいるそうです。また、一般のかたには、毎年6月初旬に行われる「水道週間」イベントでの見学がおすすめです。予約をせずにフリーで訪れることができるほか、少人数制で職員さんが案内をしてくれるので、ゆっくり話を聞くことができると好評です。


「このシステムで水の安全をしっかり守ります」と、水道浄水課長の福澤直樹さん


新しい浄水場の入口。男川浄水場は今日も1日平均約6万㎥(小学校プール約165杯分)の水を配水しています ※小学校プールを約350㎥で換算

ドローン撮影による男川浄水場全景

 

 24時間、365日、休まずに管理されているからこそ、各家庭に安定して届けられる水道水。職員のみなさんが「水は命」という思いを持って水を作ってくれていることを知り、何だかうれしくなりました。
 さて2月6日(火)の完工式、2月10日(土)、11日(日)の市民見学会を行った後に、いよいよ男川浄水場の本格オープンとなります。お楽しみに!

 

 

 

 


◯男川浄水場data
■所在地:愛知県岡崎市大平町塚畑1
■電話:0564-22-1101
■FAX:0564-22-1675
■E-Mail:otogawajosuijo@city.okazaki.aichi.jp

 

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〇ライター:小嶋かおり
愛知県豊田市(山間部)出身。三河を中心としたタウン誌の編集に始まり、フリーランスとなって東海地方の旅の情報誌を中心に執筆。生家を出て初めて住んだ場所も、高校も、初就職も、現在の出没地も岡崎…「隠れ岡崎市民」を自負しております。
 
 
〇掲載日
2018年1月22日

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