岡崎ルネサンス

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情緒ある町並みのシンボル、六供配水塔

インフォメーション
場所: 岡崎市六供町字西二本木28
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情緒ある町並みのシンボル、六供配水塔

六供配水場にある「六供配水塔」。ひときわ印象的な円柱形の建物は、地域のシンボルとして地元の人たちに愛されています。岡崎市の景観重要建造物にも指定されている、この建物の魅力に迫ります。

 

 

 

情緒ある町のシンボル的存在


 六供配水塔は、愛宕学区の中心に位置する「甲山(かぶとやま)」と呼ばれる小高い丘の頂上にあります。
 幸運にも戦災を免れたこの六供町界隈は、戦前からの町割りや路地、建物などが残り、坂道と路地が迷路のように入り組んだ古くからの町並みが見られます。
六供配水塔は、そんな風情ある町のシンボルとして、地域の人たちに親しまれています。

愛知教育大学附属岡崎小学校前から六供配水塔を眺める

 

 

岡崎市で初めて建設された浄水場


 1933年(昭和8年)、岡崎市初の浄水場である「六供浄水場」(現:六供配水場)が建設されました。六供配水塔は、その翌年の1934年(昭和9年)に建設。当時は浄水施設として、矢作川からの水を汲み上げ、近隣地域へ給水していました。

 設備の老朽化に伴い、2012年(平成24年)に浄水場としての機能を停止。現在は巴川と矢作川を水源とする仁木浄水場から送られる水を周辺地域へ給水する配水場として稼働しています。

 塔は、建設当時はまだ珍しかった鉄筋コンクリート造り。外壁はモルタル仕上げですが、大きな石を張ったような雰囲気を出すよう、目地が切られています。塔の下部には、花崗岩板が二段貼り付けられています。


取材時(1月)の六供配水塔 

 


 建築面積は150㎡、高さは17.2mです。外径は上部がやや狭くなっており、塔上部が12.8m、塔底部で15.6mあります。

 シンプルでモダンな西洋風のデザインはもちろん、塔の周囲にからまるツタも印象的です。これは戦時中、六供浄水場が市の中心部の高台にあるため、空襲の標的になることを懸念して建物にツタを這わせて隠そうとしたものなのだとか。しかしすぐには効果が望めず、配水塔の屋上からのれん状にした縄を垂らして建物を隠したこともあったそうです。

夏季の六供配水塔は緑のツタで覆われます

 

 


塔は貯水室と階段で構成


 入口の扉の上には、「汪水沾洽(おうすいせんこう)」という言葉が記されています。これは「水が広く 満ちあふれ いきわたる」という意味。その名の通り、昭和初期から現在に至るまでの長い間、ここから周辺地域へ水が届けられています。

扉の上部に刻まれた「汪水沾洽」の文字

 

 

 それでは、さっそく塔の内部へ入ってみましょう。塔は、水を貯めるための貯水室と、手前にせり出した階段で構成されています。

 コンパクトに折れ曲がった形の階段は、随所にこだわりを感じるしつらえになっています。階段の手すりは水道管のパイプのような遊び心のあるデザインで、各階にはそれぞれ形の異なるランプが設置されていました。

パイプの形をした手すり

各階に設置されたランプは、それぞれ形が異なる

 


 貯水槽の最上部まで登りきると、貯められた水をガラス窓越しに眺めることができます。貯水槽は水深11m程度で運用しており、日によって貯水量は異なります。この場所から、近隣地域へ水が給水されているのです。

窓ガラス越しに貯水室を撮影

 

 

 建物の屋上からは、岡崎市内を一望する360度の大パノラマが見られます。見学用に用意された場所ではないものの、ここまで美しい眺望は岡崎市内を探してもなかなかありません。

屋上からの眺め

 

 

配水塔横にはモダンなポンプ室が


 配水塔の横には、モダンなデザインのポンプ室があります。ここは同じ敷地内に新設されたポンプ室が稼働する2016年(平成28年)5月まで使用されていました。

旧ポンプ室外観

 

 

 建物は建設当時のままですが、平成1~2年ごろに一度外壁のタイルが張り替えられたそうです。その際、なぜか横に貼られていたタイルを縦にして張り直したとか!?

 旧ポンプ室の内部

 

 

 内装は各所にステンドガラスやレリーフなどが施されています。当時、水道は近代化の象徴であり、建物のデザインにも力を入れて作られたと思われます。

旧ポンプ室のステンドグラス

旧ポンプ室各所に施されたレリーフ

 


 現在、六供配水塔は無人施設のため見学の受け入れを行っていません。遠目ではありますが、六供町周辺からこの美しい塔を眺めることができます。岡崎の歴史を感じる貴重なこの配水塔に、長く活躍して欲しいですね。

 

 

 

 

 

◯参考文献:
「岡崎市水道五十年」/発行:岡崎市水道局
「東海 歴史をめぐる近代化遺産ベストガイド」/著:産業遺産探訪倶楽部

 

◯関連学区まちものがたりリンク  愛宕学区まちものがたり

 

◯ライター:前田智恵美
1984年、宮城県石巻市生まれ。東京のIT企業に勤めた後、結婚を機に夫の地元である愛知県岡崎市へ。自動車部品メーカー広報、出版社勤務を経てフリーに。キャンプと旅行が好きです。

 

◯公開日:2018年3月27日

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